■■今回のあらすじ■■
和行と玲は車で小旅行。
途中タイヤがパンクし車は止まり携帯も通じない。
近くの古い洋館に助けを求める。
妖しい女装の男主人に一晩泊めてもらうことに。
深夜。
地下室に行ってみると、そこは驚愕のSM部屋だった!
そして2人は…
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■■STORY■■
玲はその日、大急ぎで帰りたくて早足だった。そんな玲を見て和行は
「なぁ何急いでんだ?」
「んーちょっとねー」
そしてアパートの鍵を開け部屋の電気もつけずPCを立ち上げた。
玲の後から部屋へ入り、しょうがないなという様子で和行は電気をつける。
ネットからあるサイトの無料占いがしたくて急いでいたのだ。
劇団の休憩時間に団員たちが携帯から、その占いで盛り上がっていたのだがカップル同士で劇団にいる玲としては多少生々しいので遠巻きで眺めていたものの実は興味しんしんだった
(あった、これこれ SM度チェック 和行から先占っちゃおう〜)
生年月日を入力して占うものだ。結果は…
「ふふふ…ふふっ…あっははっ!!」
1人爆笑している玲
「気持ち悪ぅ…何なんだよ?」
「だぁって〜ちょっと見てよ〜これ、和行がSかMかの占いの結果!!もったいつけたSだって〜」
「はぁ?何だそれ?占い?本当女って好きだよな、そういうの…おまえは?」
「私は…っと」
占ってみた。
和行が横からPCを覗きこむと
「…どれどれ?……積極的M?なんだそれ〜?積極的にMになるって意味?でも、なんかおまえらしいから怖いな…当たってるじゃん?」
「…意味わかんない…あ…でも、ほらほら相性のいい人、もったいつけたSだよ、やっぱ私たちって相性いいんだ〜ふ〜ん。」
「それより明日3時間は車乗るぞ。おまえ乗り物酔いするから、薬準備しとけよ」
「ん。大丈夫、昨日薬買っておいたから」
団長から車を借り2人で1泊の小旅行を予定していた。
この時は奇妙な旅になるとも知らずに…
(行き止まりだ…)和行は完全に道に迷っていた。
団長の主義でこの車にはカーナビがついていない。見知らぬ土地の山道その上途中から激しい雨。玲は酔い止めの薬が効いたせいかよく寝ている。
(しかたない。引き返すしかないな)
細い砂利道の上を走る車。古びた洋館の前を通りかかった直後だったバーンという音と共に車は止まってしまった。音に驚いて玲が起きた
「!!えっ!なに?」
「やべぇ…やった、タイヤパンクした…交換してくる」
「わっ!外すごい雨。大丈夫?手伝う?」
「いや、いい。大丈夫。中にいて」
車から出てトランクを開けると
(ない!!マジでぇ?)スペアタイヤはなかった。急いで車の中へ戻る
「団長〜カンベンしてほしいよ〜スペア入れとけよっ!」
「すごい、ずぶ濡れ」
玲は後部座席に置いてあった旅行カバンからタオルを出し和行の頭に乗せて雨水をふき取る。和行は携帯を取り出して
「JAF呼ぶしかないな。あれ?圏外になってる?玲おまえの携帯は?」
「あ。私も圏外。こんな山奥だから?うっそお」
和行は古びた洋館が気になっていた
「なぁ…あの洋館…人、住んでるかな?」
「いかにもセレブっぽいけど…すごい古くない?」
「…じっとしてても、しょうがないな。ちょっと行って見てくる!」
「あ!私も行く!」
車で1人待つのが怖い気がした
傘を用意し忘れ、たまたま置いてあった新聞紙を頭にかけて2人で洋館へ向かった。
洋館のチャイムを押してみた。
ハイヒールの音だろうかドアに向かってくる足音が中から聞こえてた
「助かった。人がいた。電話借りよう!」
ドアが開き館から出てきた人物に2人は驚いた。
きっちりしたメイク、柔らかな物腰、胸元の大きくあいたロングドレスうっとりするような香水のかおり…しかしその人物は男だった…!
「何か?」
慌てて口を開く和行
「あの、すぐそこで車のタイヤがパンクしてしまって。えと、それで携帯の電波が入らなくて、その〜電話をお借りしたいんですが…」
「まぁ、それは大変…でも申し訳ないんだけど、訳あって電話を置いてないのよ」
いまどき電話のない家などあるだろうか?しかもこんな山奥の一軒屋で?
「こんなに雨に濡れて、風邪をひいてしまうわ。とりあえず中にお入りなさい。」
うながされるよう洋館の中へ2人は入っていった。
屋敷の中は年代物の調度品で品よく統一されていて廊下のところどころに絵が飾られてある。しかしどこか奇妙な趣味を感じさせるものが多かった。
2階の客室へ通され
「着替える物を用意させますから、ちょっとお待ちになってて。そちらのドアがバスルームだから、遠慮なくお使いになってね…」
そう言い残し部屋を出て行った。
ほどなく部屋のドアをノックする音
「はい。どうぞ。」
メイドが入ってきた
「失礼致します。着替えをお持ち致しました。濡れた服は洗って乾かしますのでこちらの籠へ入れてください。では1時間ほどしましたら、またまいります。」
メイドが出て行くなり
「すっごい!このガウン、シルク?あ〜恥ずかしい〜ぱんつまで用意してくれてる、このぱんつもシルクじゃん!すごいお金持ちだね!ぷっ、でも和行もシルクのガウンって笑える〜」
「うるせっ!それより風呂さっさと入っちまおうぜ〜」
バスルームを使い終わったところを見計らったようにドアをノックする音。
「どうぞ。」
先ほどの女装の男と後につづいてメイドが入ってきた
「体、温まったかしら?」
「あ、おかげさまで。」
和行が答えた
「紅さん、お洗濯おねがいね。」
そうメイドにいいつけ、メイドは籠を持ち一礼して部屋を出て行った
「それでねぇ車の話なんだけど、ここふもとの町まで歩くと2時間はかかるのよ。こんな雨だし今日はこちらで泊まっていかれたら?」
「2時間!?あ〜でも悪いですよ。」
「気になさらないで。で、毎朝町から御用聞きの子に来てもらっているから車の事はその子に頼んで連絡してもらいましょう。」
「お食事をお持ち致しました。」
執事がワゴンで食事を運んできた
「ご苦労様。テーブルに並べてちょうだい。えっと、それで何だったかしら?そうそう、日も暮れてしまったし。道も悪いからかえって危ないわ。」
「そう、ですよね。」
外の雨はますます激しくなっていた
「じゃ、今夜はこちらでゆっくりなさって。ね。」
「本当にありがとうございます。」
「いいえ。それじゃ失礼いたしますわ。あっ、そうだわ1つお願いが…。地下室には近寄らないでくださいね。お恥ずかしい話なんだけど地下は手入れが悪くて床板の傷みがひどくて、危ないから。」
香水の香りを残して部屋を出て行った。
食事を終え、ふかふかのベッドの上でくつろいでいると退屈しだしている玲。
「ヒマ〜ねぇこの屋敷の中探検しない?」
「だーめ。失礼だろ?」
「地下室のある家に泊まるの初めてだもん、ちょっとだけ見たいよ〜」
「床が腐って危ないって言われてんじゃん」
「な〜んかさ、この洋館ってミステリアスでしょ?興味ない?」
「まぁ興味はあるけどさ…」
「決まりっ!!行こ!」
さっさと部屋を出ていってしまった
「え!?おい、ちょっと玲!」
すばやく1階へ降りていく玲をあわてて追いかける和行。
小声で
「おい、戻れって!」
「大丈夫!見つかっちゃったら謝ればいいじゃん」
それにしても何かが奇妙だった。
2階はもちろん1階もシーンとして人の気配がしない。
屋敷自体が広いせいかもしれないが、あまりにも生活感がなさすぎる印象。
地下に向かって気づいたのは、床は傷んでいるどころか頑丈できれいだった。
不審な気持ちで部屋のドアを開けると、部屋の電気は消えていたがほの明るい灯があった。目をこらすと蝋燭の炎らしい。
その明かりをたよりに電気のスイッチを入れた。
まず一面タイル貼りのピンクの壁が目に入ってきた。
そして明らかにSMホテルに設置されている拘束具の数々。
しかしその拘束具もパステルカラーで色づけされている奥には高級ホテルのような天蓋付のベッド。
部屋を見回して玲は
「うわ!!かわいい〜公園みたい」
(嘘?どう見てもSM部屋。なんで女ってピンクは無条件でかわいい!なんだ?)
玲は面白半分で和行は不審な気分で部屋の探索を始めた。
真っ白なクローゼットに目をつけた玲はとびつく様にちかづいて扉を開けた、すると
「えっ?……ねぇちょっとカズ!」
「んー?」
「これって、もしかして?」
「SMグッズだな。」
棚で仕切られ整然と並べられている
「えええ!!拘束グッズってやつ?わーバイブとかもある…この部屋?何?」
あちこちの設置された拘束具を見てまわりパステルグリーンの磔をながめて
「今、思ったけど…これって、もしかして磔とかいうもの?かな?」
(今頃気づいたか…パステルカラーに騙されたな。それにしてもSM部屋があること
自体凄いけど、このパステルカラーのセンスは何なんだ?)
和行はこの部屋のバランスを崩すかのように床に置かれているTVが気になった。
リモコンのスイッチを入れてみる
『あっ!!うっ…ふぅっ…ああぁっ!』
いきなり全裸の女が首輪と手枷をはめられ体中に蝋燭をたらされ責められている映像が流れた。
どうやら映像はこの部屋で撮影されたものらしく女を1ケ所から撮っていて男の声はするが姿は写っていない。
「なになに?」
好奇心のまま玲もそのビデオに見入った2人並んで座り食い入るようビデオを見た。映像はカップリングやプレイも様々に変わり1時間程で終わってしまった。
ふいに玲は立ち上がりベビーピンク色の婦人科の診察台のような拘束具に座った
「ここに座ってると、そんなに興奮するのかな?」
台に横たわり顔は和行に向ける。
その目は潤んでいた
「…おまえ、もしかして誘ってる?」
「う〜ん、どうかな?ちょっと変な気分かも…」
旅の開放感なのか、この状況のためか、この館の女装の主人の影響か?
普段アパートでの行為には声を聞かれるのも気にしているのに誰かが来ることなど気にしていない玲の大胆さが和行には不思議だった。
「責められて泣いちゃうんじゃないの?」
なぶられたい思いと奪いつくしたい欲望がからみあう…
和行は拘束具の手首足首のベルトをきっちり固定し玲は両足を大きく開いた状態で身動きできない。
クローゼットから様々なグッズを持ち出し口枷を玲の首にかけ
「苦しかったら言えよ」
「うん…え?口枷はめられて、どうやって苦しいって言うの?」
「あ。そうだな…んんーじゃ手でブロックサイン出せ、グーチョキパーって3回やったらストップするからな。」
「…分かった…」
ムードないなと思うが、しかたない。
口枷の赤いボールで口は自然に開き、歯にボールの固さを感じた。
首の後ろでベルトを固く締められ徐々に被虐的な気分が高まる…
ボールには穴が開いているため呼吸はできるが言葉は通じない。
車の掃除用の毛バタキがあった。ダチョウの羽がストールのようにまとめられて柄がついているものだ。
この部屋にあるのだから当然プレイ用であろう。
一度これを使ってみたかった和行は迷うことなく手にとっていた。
まず玲の膝下全体に密着させてゆっくりとさする…
玲の反応は早かった、つま先をたて呼吸を乱す、腕には鳥肌をたてていた。
耳元、首筋、ふともも。核心部より遠いところを責める。羽の感触がたまらなく激しく体を揺さぶるが思うようには動けない、拘束具がギシギシ音をたてる。
やがてガウンの上からもはっきり分かるほど乳首を立てていた。
和行は玲のガウンの紐をほどくと乳房から脇腹に羽をはわせ楽しんだ
「!!」
口枷のせいで言葉は出せないものの息遣いは激しい。
体をこわばらせ手で拘束具の手すりを握り締める、それも極まるとぐったりした状態になる。
それを何度もくりかえし眼差しは熱を帯びてうっとりしている。
羽をふとももへ這わせ
「パンツ濡れてぐっしょりだよ…アソコ透けて見えそう…」
(やだっ…シルクだから特に透けちゃうんだ)
毛バタキを持ち替え、柄の部分で下着の上から湿った場所を優しくさする
「イクなよ。イッたら…おしおきするぞ〜」
(こんな濡れて刺激されたら我慢できないの分かってるくせに!)
おしおきがどんなものか期待がふくらんだ。ビデオの卑猥な映像が頭に浮かぶ
「…!」
一瞬の強い腰の動き、そして脱力していった
「え…本当にイッちゃった?我慢が足りないな。おしおき決定だな。」
玲がグーチョキパーを3回出した
「何?あ、口枷はずさなきゃ分かんないな」
口枷をはずす
「ぷはっ…顎疲れた、口枷はずしといて…」
息をはずませて言った。
手足の拘束をはずし玲を抱きかかえるとガウンがすべり落ちた。
天蓋付きのベッドにうつぶせで寝かせる…
「さて、どうおしおきしようかな?」
様々な想像で胸が高鳴る。
鋲打ちされた黒い皮の手枷を玲の右腕に合わせベルトをしめ鍵をかける。
同じ手枷が対になってチェーンでつながってる、その対をベッドの支柱につなぐ。
同様に左腕も手枷をはめ…うつぶせで両手首をベッドの支柱につながれた状態だ。
そしてアイマスクをされ湿った下着をはぎとられた
(次、何されるのかと思うとすごく興奮する…私やっぱりマゾ?)
ブーンという音が聞こえた。ブルブル振動するものが背骨に添って肩から腰へ蠢く…
どうやらローターを当てられているらしいが、それは複雑な動きをして
普段以上に敏感になっている玲は身をよじって悲鳴に近い声をあげる…
うつぶせの程よい圧力で乳首もクリトリスも刺激を受けてる。
和行はローターをさらに移動し尻の一番感じるポイントに押し当て責めた
「ん…あっあ!」
体が快楽を求め腰が自然に動く。その様子を見た和行は
「そんなに動いてたら、またイッちゃうよ…今度1人でイッたら挿入なしかな?」
「や!そんなおしおきしないで!」
和行は玲を膝立ちさせ尻をあげさせる
「さて。次は…これかな?」
その赤い蝋燭は部屋に入った時から燭台にささって灯がついていたものでベッドの傍へ置かれていた。
(この蝋燭ってSM用のだよな?低温のやつだと思うけど…)
「蝋燭、熱かったら熱いって言えよ?」
「ん…」
蝋燭は燃える火を中心に泉のように液体化して、溢れた蝋が側面にたれていた。
蝋燭を手にとり50cm位の高さから少しずつたらす
尻にたれた蝋は1cm位だろうか白い尻に3滴点々と赤い印をつけた。
玲には初めての体験だった。一瞬チクッとするような熱さのような痛みのような感覚があるが、すぐおさまり蝋が乾く。
「あっ!…もっと、して!」
体の感覚以上に心が妖しくざわめく。こんな自分にあきれているのではないかと思いつつも、もっといじめられたい…
さらに蝋燭を背中にたらされ、蝋は乳房に流れていく
和行はその赤い印に今まで感じた事のない下腹部の熱さを感じていた。
玲は和行が自分の体の下に潜りこんでいる気配を感じていた。
互いの顔の前に熱い部分が来る形になっていた。
拘束され目隠しされた状態で唇に熱くはりつめたものがあたった。
それを約束事のように口に含む
玲の下で和行は蕩けて愛液で満たされたそこに舌を差し入れたり指で弄んだり…
そしてローターを取り先端を入口に浅く挿入しスイッチを入れ中をかき回す。
複雑な振動に玲はあわてて和行のものから口をはなし
「ちょっ!待って!!そんなっ…ずるいよ!スイッチ止めて〜」
「我慢。がまん…イッたら挿入なし!」
「うっ、んっ…もう〜バカ〜〜〜」
玲は奴隷のように丹念な舌使いで奉仕し続けた。
和行の手が止まる間隔が長くなり息が激しくなっていく気配
「…カズ…もう我慢できない…欲しいよ…」
猫のように甘えた声でねだる
「…そんなに言うなら…仕方ないな…」
実際は欲望ではちきれそうな自身を必死で抑えていた。体を180度回転し玲をまたがせる
「ほら。自分で入れて。」
手を拘束されアイマスクもされているためなかなか上手く入らない
「いや〜もうっ、こんないじめ方ひどいよ〜!」
「そんなに欲しい?入れてくださいって言って。」
「う…いれて、ください…」
下から突き上げられ熱いものが体を貫いていく
「ああっ!!」
アイマスクで顔半分は隠れているが悦びの表情であるのが分かる
玲の内部は蕩けてゆっくりと収縮している、和行は下から腰を押し上げる
「う、もっと…もっと…いじめて」
和行は玲の乳首を両手でつまむ。貼りついていた蝋が剥がれ落ちた
「うっ…あぁっ!」
玲も応戦するかのように腰を激しく上下させる
…周囲の誰も玲のこんな淫らな姿を知らない…自分だけという優越感に似た思いと愛おしさで和行の頭の芯が熱くなる。
本来なら玲の欲望のままに体を動かせるはずだが拘束されてるため、ままならない。
じれったさが虐げられている感覚をおこし体の疼きをひきだし、どんどん昇りつめ「んっ!んっ!も、もう…だめっ…」腰を震わせ内部は脈打つよう収縮した
「うっ」
玲の尻をつかんで和行も熱いものを溢れさせた。
和行は玲の手枷とアイマスクをはずし
「腕、痛くない?」
「うん…平気…」
和行はベッドへ潜りこみよりそった
「どれが1番興奮した?」
「え〜!……全部。」
玲を抱き寄せようと肩に触れた途端
「あっ!」
体をびくつかせた
「えっ何?」
「…からだが変…すごく敏感になってる…」
「2回もイッたのに?」
わざと背中を愛撫する
「やっ…だめっ、おかしくなりそう」
手を止めた
「かわいそうだからやめとく。」
複雑な気分だった。
本当に止めてほしいのかそれともおかしくなるまで、してほしいのか…
とりとめのない話をしているうちに遊びつかれた子供のように眠りに落ちていった。
朝。
和行が目を覚ますと、そこは車の中だった。寝起きのぼんやりした頭で
(?あれ?ゆうべ洋館に泊まって、SM部屋でHして?そこで眠ったよな?)
車から外を眺めると洋館はどこにもなかった。
200m程先に日本家屋の一軒屋が見る。雨は止んでいた。
(洋館の前でパンクしただろ?どうなってるんだ??そうだ)
車から出て昨日パンクしたはずのタイヤを見ると傷跡ひとつない…
(???えー???俺?なんか夢みてた?)車に戻り玲を起こす
「玲、ちょっ、起きて」
「……ん」
けだるそうに目を開けて
「?あれ?どうして車の中にいるの?」
「だよな!?俺たち洋館に泊まったよな?」
「う、うん。ここどこ?洋館がどこにもないよ?服出かけた時の着てる?」
「………俺もわかんない。どうなってんだ?」2人で呆然とする
「ねぇ、携帯は?」
「電波入ってる。ここどこだ?」
GPSで場所を調べた
「ん?この住所って?ちょっと、あの一軒屋まで行こう」
和行は車を発進させた
車は普通に動いている。
一軒屋の前まで来ると看板が見えた『佃遁村の宿』
「ねぇ予約した民宿って、ここじゃ?」
「俺キャンセル代払ってくる」
そう言って車から出て民宿へ入っていった
(さすが温泉宿の息子。勘当されてるけど。)妙なところで感心する玲。
「ごめんください。朝早くからすいません。」
「はーい。」
中から女将らしき女性が出て
「昨日予約してた萩原ですけど、車で来ててちょっと途中で道に迷ってしまって」
「あらあら、車の中で一晩すごされたの?」
「あ…はぁ、そうです。」
としか言いようがない
「まぁ大変だったわね。昨晩の雨で寒かったんじゃ?」
「それでキャンセル代のほうを…」
「あら〜わざわざご丁寧に…でもそんな難儀された方からいただけないわ。」
「えっ?でも?」
「ここ、道に迷ってしまわれる方が多いんですよ。だから気になさらないで。」
かたわらに土産物のストラップがあった。団長の土産として適当に選んで
「あ…じゃ、これください。」
「えーと。これね、はいはい」
和行は気になってる事を聞いてみた
「あの。この近くに古い洋館とかありますか?」
「…古い…洋館ですか?さぁ…私は聞いたこともありませんけど…」
そして車は東京に向かって走り出した。
「キャンセル料いいってさ。めずらしいよな?」
「へぇ太っ腹な民宿だね〜……ねぇ、ゆうべの洋館、なんだったと思う?」
「さぁ………訳分かんないよな…深く考えないでおこう。」
2人の中に謎と刺激的で甘い記憶を残して旅は終わりつつあった。 |