■■あらすじ■■
西暦2269年。火星開発のため地球の男の半分は火星へ赴任していた。
地球では多産化計画のため財力のある男は政府の支援の下ハーレムで子作りに励む
そんな地球でバイブは御禁制の品。あるハーレムの主が骨董品からバイブを発見!
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■■STORY■■
俺は重圧を感じていた。
主のミノル様が代替わりして半年。ハーレムの女たち誰一人として妊娠しないので
俺からミノル様へハッパをかけろ!と執事頭にうるさく言われていたのだ。
古いリゾートホテルを改築したこの邸に俺が初めて来たのは8歳のとき
3歳になったミノル様の遊び相手として邸に迎えられ兄弟同然に育った。
正式にハーレムの主として認められたミノル様は現在19歳
俺は執事見習いとして邸で働いているが兄弟同然に育ち気心も知れているので
邸の者がミノル様に対して言いにくいことは俺から言わされるハメになっている。
2211年に始まった火星開発計画で地球の結婚制度は大きく変化したらしい。
男の半分は火星へ行き地球を離れたため政府は人口の減少を危惧し
地球に残った財力のある男にハーレムを作ることを推奨、多産化計画が進行。
俺が生まれたのはハーレム社会が定着した後。今年は2269年。
晩餐前の時間ミノル様は自身の部屋で過ごしている。
俺はミノル様の使命を説得するため部屋へ向かい憂鬱な気分でドアをノックした
「ご主人様。只今よろしいでしょうか?…ご主人様?」
ドアに耳をあて気配をうかがう。あえぎ声と激しい息遣い、行為の最中らしい
(しかたない。あとにしよう)
部屋の前から立ち去ろうとしたら中からミノル様のとぎれがちな声
「…なーに?ツカモト…なんか用事?…はぁはぁ…」
「お話があるのですが、おとりこみ中のようなので後ほど参ります。」
「話なの?…大丈夫〜!すぐ終わるから………うっ!!」
ほどなく部屋から金髪で栗色の瞳の女が出てきた。北欧系の女で名はティアラ。
政策で遺伝的に多様な子孫を残すためハーレムには様々な人種の女達がいる
「失礼いたしましたぁ、ご主人様がお待ちです。どうぞ、うふっ。」
ティアラは少女っぽく微笑んでドレスをひるがえしその場を離れた
部屋へ入るとミノル様は晩餐用のタキシードを着て大鏡の前で髪を整えていた
「ツカモト。何?話って?」
「…つかぬ事をお聞きしますがティアラ様とは先ほど具体的にどのような行為を?」
「う〜ん。チュパチュパ。」
思わずため息が出る。ハーレムの女達が妊娠しない理由はフェラ止まり!
「ご主人様。いったいどの位の割合でチュパチュパされているのですか?」
「そうだな…だいたい7割?くらいかな?…ね、話って何なの?」
(あの顔はサバを読んでいる…実質9割だな。真面目に合体しているのは1割か!)
「お話というのは、その事です。真面目に女達を妊娠させてくださいませ!」
「え〜!だぁってぇ、頼みもしないのにチュパチュパしてくれるんだよ〜!」
「いえ!そこをこらえて挿入するんですよ!挿入してください!」
「僕、早いのかな?チュパチュパが気持ちよくて我慢できないんだよね…」
どちらが悪いという問題でもない。女達はミノル様に気に入られたいためにする
まだ若いミノル様がフェラチオで射精してしまうのも無理はない
「ご存知かと思いますが本来なら妊娠に至らない性的な行為は法律で禁止ですよ。」
「カタイこと言うなよ〜そんなこと言うんだったら同性愛だって禁止じゃーん!
もっとも男の同性愛は女の同性愛より厳しくないけど。なっツカモト?」
俺の目を覗き込むように言い放つ、痛いところをつかれた
(それを言われると俺も返す言葉がないんだよな…)俺は正真正銘のゲイ。
俺には執事見習いの仕事のほかに夜の目付け役の仕事がある。
ハーレムの主と女達の行為を記録し政府に提出するのが夜の目付け役の仕事。
あまりにも行為が少ないと政府から多産化不能と見られ莫大な罰金をとられる
そんな理由もあって女達にさっさと妊娠してもらわないと困るのだが。
女達にはそれぞれ部屋が与えられている。部屋を入ってすぐ脇に木製のついたてがあり
ついたてで記録用の机と簡易ベッドを隠し主と女に配慮するよう設置してある
夜の目付け役はついたてから気配をうかがい主と女達の様子を記録する。
本来なら夜の目付け役は高齢の女のする仕事。
だが適当な者が見つからずゲイの俺なら適任ということで急遽白羽の矢がたった
ストレートの男では女達に手を出す危険があるし若い女ならハーレム入りというわけ。
俺にとって夜の仕事は退屈なうえに昼間の仕事の疲れで睡魔との闘いになる。
そんな日々のある昼下がり。
ミノル様に呼ばれ先祖代々の骨董品が収納されている部屋へ行った。部屋へ入ると
「うわ!ご主人様、足の踏み場がございません!」
「えへへっ!骨董品って、なんか興味あるんだぁ。つい、散らかしちゃった」
「承知いたしました。ワタクシが片付けます!」
「悪いなぁ僕も手伝うからさ」悪びれる様子は微塵もないが憎めない。
手伝うと言いながらミノル様は一代目様の古い映像をモニターで見ている
「やれやれ終わりましたね、ご主人様」
「ツカモト。僕と一代目様って似てる?」
「…そうですね顔は似ていますが、オーラが違いますね。」
「うわ!はっきり言うね!…オーラかぁ…恋する人間の輝きってやつかな…
贅沢だけどさ、恋って憧れる…僕って結局のところ種馬じゃん?」
恵まれているように見えるミノル様の寂しそうな顔に心が痛む
「…ご主人様。」
「ツカモトとさ火星に行ったタクヤも輝いてるよ。」一変して悪戯っぽく笑っている
「タ、タクヤですか!?」
タクヤは俺と同じくミノル様の遊び相手として子供の頃邸に入った。俺との関係は…
「いっぺん聞きたかったんだけどさ。タクヤとは一線越えたの?」
「な、なにを、おっしゃるんですか!そのようなことは…」
「越えてないの?じゃ、キスは?」
「…は、はは。」
「あぁ、顔が赤い〜キスしたんだぁ?」
その時ミノル様が書棚に腕を置いたはずみで箱が落ちてしまった
「おっと、ワタクシが拾います」
「その箱なんだろう?セロファンが被ったままってことは未開封なんだよね?」
「その様ですね。」
「開けてみて。」
細長いモノトーンの箱でKIREI STYLISH VIB. のロゴが入っている
セロファンをはずし箱のふたを開ける、中から正体不明の細長いピンクの物体。
他には薄いビニール製の小物と乾電池
「乾電池でございますね。他の物はいったい何でしょう?」
「箱のふたのマークってさ2000年代の初めのゴミのリサイクルマークでしょ?
なんか子供の頃習った覚えがあるよ。」
「一代目様が生きてらしたのが2000年代の初め…一代目様の遺品ですね。」
「このピンクのものがメインで、あとは付属品っぽいね。」
「ちょっと調べてみましょう。」
腕時計タイプの携帯電話からピンクの物体を撮影そしてネット検索。結果は
【バイブレーター(クリバイブ機能付き)細長い部分が本体の挿入部、枝分かれした
部分はクリバイブ。挿入部分を女子のヴァギナに挿入しクリバイブでクリトリスを
刺激する道具、スイッチ操作で振動する。
性行為時に男子が女子に使用したり女子の自慰行為のため使用するもの】
ミノル様は俺の携帯電話を覗き込んで
「へぇぇぇ。じゃあ、この細長い部分がおちんちんの代わりってこと?
で小枝みたいのでクリトリスを刺激……振動?どうやったら振動するんだろ?」
「乾電池を使用するのではないでしょうか。」
今の時代あまり使われてないが乾電池はここ300年ほど変化していないらしい。
バイブレーターの底部分にキャップがあり、ふたを開け付属の乾電池を装着。
操作部分らしいパネルには三角マークが4つあり上向きと下向きがそれぞれ2つ。
右側の上向きの三角マークを押してみたクリバイブという部分が振動した
「わっ動いた!えっ!?これ、どうやって止めるの?」
「下向きの三角でしょうね。」押す、振動が止まる
「お前カンいいね!左の三角は?」
「おそらくヴァギナへの挿入部分が何やら動くのでしょう」
俺は左側の上向きの三角マークを押す、根元の部分を基点に先端がぐるぐる旋回した
「おおっ!回ってる〜! R/S のマークは…もしかしたら…」
押してみる挿入部分が逆回転しだした
「逆回転機能ですね。」
ミノル様はバイブレーターを俺から取るとスイッチをいれ色々試みている
どうやら押し続けると振動が4段階に変化するようだ。
俺はもうひとつの付属品、薄いビニール製の小物が気になりネット検索した
【コンドーム 性行為の際、避妊や性病の感染を防ぐもの。ペニスに被せて使用する】
(コンドーム。なるほど聞いたことがある。避妊に使う、か。ちょっと待てよ?)
何かひっかかるものを感じ、もう一度バイブレーターを検索して調べる
【妊娠につながりにくくなる可能性を考慮しバイブレーターの製造、売買、使用は禁止】
存在すら知らなかったバイブレーターに『やはり』という思い。ミノル様へ
「ご主人様バイブレーターは現在使用すると法律違反のようですね。」
「WATER PROOF ってかいてある。洗えるのか。皆に試してみたいなぁ…
赤いランプで振動が目で見て分かるのってさ…想像すると…興奮するな…
見た目痛そうだけど先っぽのイボイボ柔らか〜い…ふふふ…今夜はこれで…
誰の部屋に行こうかな〜?」
満面の笑顔でバイブレーターを握りしめ俺を置き去り部屋を出て行った
(最後まで人の話を聞けっつーの!)
※ 注意・衛生上バイブは一人一本の使用にしましょう!
その夜ミノル様に口すっぱく説得をする
「いいですか?ご主人様。バイブレーターを使用するのは法律違反なんですからね!」
「わかったよ〜。要は僕のを挿入して射精すればいいんでしょ?」
「大目に見ますが射精する時はバイブレーターを抜いてご自身を挿入するんですよ!」
「はいはい。頑張るよ。さ〜て今夜はティアラの部屋にしようっと♪」
ティアラの部屋。
俺はついたてから二人のやりとりに聞き耳をたてる、ティアラが
「ご主人様ぁ、なんですか?このピンクの棒みたいなもの?イボイボしてます〜」
「これはね、バイブレーターっていうものでぇ…後のお楽しみっ♪」
二人の行為が始まった、やりとりする声が聞える
「ああっん…あぁっ、はぁはぁ!いやぁん!ご主人様ぁん!今日の愛撫すごくいい…」
「そんなにいい?どれ?…わぁこんなに濡れてるぅ!」
「あっ!もう、もう…我慢できない!欲しいっ!」
「欲しい?我慢できない?ふふ、バイブレーターで遊んでみようね…」
「はぁはぁ…そのピンクの物を、どうするのですか?」
「足を開いて…力を抜いてごらん…」
「…あっ!…ああっ!いやっ!だめぇ〜!」
挿入し中で動かしているらしくクチュクチュという音が聞える
「本当にダメ?あ・そ・こ、ヒクヒクしてる…根元まで入って、すごい…」
「ご主人様の意地悪ぅ…あっ…こんな…ああんっ!」
「イボイボのかんじ、どう?」
「…奥のほうがムズムズするぅっ…他の人としてるみたいで刺激的…ああっ!」
「スイッチ入れるよ」
二人の動き具合で時おりヴーンとモーター音が微かに聞える
「あっ!あっ!…こんなっ!だめぇ!中でぐるぐる回って…ああん!あん!」
「つぎは、クリちゃんスイッチON!…どれが一番気持ちいいかなぁ?」
「ああっ…そ、そこ、そんなに振動
させたら…やぁっ!…イッちゃいますぅ!」
「そんなに気持ちいいの?」
「ああっ…!ご主人様…口が寂しいチュパチュパさせてくださいませ!」
「ん〜、もう、しょうがないなぁ…」
思わずついたての隙間から覗くとミノル様の顔はティアラの股間の上
ティアラは下からミノル様のものを口にふくんでいる
(おいおいおい!それじゃいつもと同じじゃないか!)
苛立ちながらも行為の最中に止めに入るわけにもいかない
「あっ…ご主人、さまっ…んくっ…ん!…ああっ…んんっ…くっ!!」
「はぁはぁ…ティアラ気持ちいいよ…うっ!!」
ミノル様はティアラの口の中で果てティアラはバイブレーターで果てた
ティアラの口から白い液体が一筋つたって流れた
(精子の無駄遣いを…こんなことだから女達が妊娠しないんじゃないか!)
一ヶ月程ミノル様と女達は同様のやりとりを続け、俺は心身共疲れきっていた。
ある夜ティアラの部屋。
(どうせ今夜も例のごとく…だろうな。…疲れた。さっさと寝よう)
最近は寝酒をやるようになり昼間の疲れもあり俺はすぐに熟睡した。
…夢をみていた…
タクヤの懐かしいトワレの匂いがした、満開の桜の中で再開する俺たち
『ああ、タクヤ火星から戻っていたのか。会いたかった!』
抱き合うタクヤと俺。抱き合い互いに激しく唇を重ね合わせる
桜の樹に俺をもたれさせタクヤは俺のズボンのファスナーを下げそれを口にふくむ
『タクヤ…なんて気持ちいいんだ…こんなことをお前とするなんて…ああ…』
タクヤは土の上に俺を仰向けに寝かせると俺の上にまたがる
『いいのか?タクヤ……ああ、タクヤ!タクヤ!』
あまりにリアルな夢に(夢精した!!)と思った瞬間、目をあけると
俺の上には全裸のティアラがいた。俺を見おろし妖しく微笑んでいる
「ティアラ…さま?」
「しぃっ…静かにして…ご主人様に気づかれてしまうわ。」
ティアラは俺の上から降りシースルーのガウンを羽織った。
机の上のティッシュをとり俺に背を向け股間を拭いている。聞くのも恐ろしいが
「…ティアラ様。いったい何をされていたのですか?」
驚きで硬直状態の俺にティアラは顔を寄せてささやいた
「分かってるくせに…気持ちよかったでしょう?あなたの逞しかった。」
そう言い残しミノル様の寝ているベッドへ戻った。
かたわらにはタクヤの好きなトワレの瓶があり、ふたが開いていた…
翌朝。中庭の噴水近くで庭のチェックをしていると昨晩の恐ろしい出来事を
ありありと思い出した
(なんてことだ…酔って寝ていたとはいえミノル様への背信行為を!
…タクヤが戻ってくるまで清らかでいたかったのに…)
万が一ティアラが俺の子を妊娠したら、そう思うと恐怖で震えそうになる。
突然背後から誰かに腕をくまれた
「ツカモっちゃん!おはよう!昨夜は楽しかったねっ♪」ティアラだった
「…ティアラ様、ツカモトとお呼び下さい!腕を放してください!」
ティアラの腕をふりほどいた
「冷たいなぁ。」
「タクヤの好きなトワレをわざわざ用意したんですか!?」
「ふふっ!やっぱり。タクヤくんだと思ったんだぁ〜」
「寝酒を飲んで熟睡していましたからね。騙されました!」
「ねっ。今、私妊娠してたらツカモっちゃんの子供かもしれないね?」
「…おそろしいことを。いったい、どういうおつもりなんですか?」
「ご主人様のバイブレーターで体に火がついちゃたんだもん。他の人ともしたくて
ついツカモっちゃんにムラムラしちゃった…」
「そんな!…つい…ムラムラで…なんてことを!」
俺は頭がフラフラして血の気が引くのを感じた
「…そんなに心配しなくても。今朝生理始まっちゃったから大丈夫よ。」
「え?そうなんですか。」思わずホッとする
「あ〜あ。露骨にホッとした顔してぇ…なーんかプライド傷つくぅ。」
そう言って邸に入っていった。
貞操の危機を感じた俺はミノル様に半泣き状態で説得をする
「ご主人様、もう、いいかげん女達を妊娠させないと政府から罰金処分されます!」
「…そうなんだよなぁ…いや、僕もさバイブレーターで遊ぶようになってから
女の子たちをヨガらせるのが楽しくって、ぼちぼちお勤め真面目にできちゃうかも♪」
「そうですか!それはよかった!頑張って下さい!」
「うん!頑張る!」
ミノル様が真面目に励んだ結果10ヵ月後、女達30人が次々に出産!
さらに喜ばしいことに夜の目付け役の後任が来月に邸に入ってくる
(これで肩の荷がおりた。仕事も楽になるし、すがすがしい気分だ!)
執務室でひとり書類書きをしているとティアラが赤ん坊を抱いて入ってきた
「ティアラ様。お子様ともども元気そうでなによりです!」
「ふふ、可愛いでしょ?見て、このちっちゃい手…」
ティアラも子供を産んですっかり落ち着いて母親らしくなった
「ご主人様とティアラ様のお子様ですからね。先が楽しみですね。」
「…ん。ねぇ、この子の親指見て。ツカモっちゃんの指の形に似てない?」
「はっ?」
「ほら…ツカモっちゃんの親指の形って特徴あるでしょ、ツカモっちゃんの子かも?」
「えっ!?そんな!あの後すぐ生理があったとおっしゃっていたではないですか?」
「えー?私そんなこと言ったっけ?…そうだったわ。だってツカモっちゃんが
ぶったおれそうな顔してたから、かわいそうになって…つい嘘ついちゃった。」
「…それじゃあ…」
「うーん?でもご主人様にも似てるような気がするし…私もよく分からない?」
(よく分からないって……俺、もうダメ倒れるかも…)
「ティアラ様。ワタクシ少々席を外します…」
「あ…ツカモっちゃん…」
執務室を出て中庭に出た。一番大きな樹の根元に腰を下ろして空をぼんやり眺める。
ティアラの子の父親が万が一俺だとして発覚しても、せいぜい刑期は1年程度だろう
死刑制度など大昔に廃止されたし今の刑務所は修道院レベルらしい
なにより生まれた子供に罪はない、子供は政府が手厚く保護をする
(こんな世の中のほうがおかしいんだ。だいたい誰に罪があるというんだ…
子供を増やすなら誰の子でもいいじゃないか。子供は地球の宝だぞっ!
もう俺は何も考えない…考えるもんか!)
火星から観測される地球は今日も青かった。
* END *
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