壁埋 まり夫
これまでに執筆したコラム内でもローション選びの重要性についてはすでに触れてきました。このコラムをご覧になっている皆様ならばおそらくラブグッズも使っている事と思いますが、ラブグッズに合わせて最適なローションを選べるのはより良いエロライフを楽しむのに欠かせない知識です。そこで今回は改めて実際のローションの差についてまとめたいと思います。
一般的な水溶性ローションを基準として、粘度の高いもの(ハード系・ワセリン等)、粘度の低いもの(サラサラ系、オイルやシリコン系のローション等)など、流動性の差がそのローションの特性となっています。粘度の高いローションの利点は「流れ落ちにくい(長持ちする)・対象物がねっとり絡む」、粘度の低いローションなら「よく滑る、グッズになじみやすい」等が挙げられますが、一方で粘度の高いローションには「グッズと粘膜との摩擦負荷が大きい」、粘度の低いローションなら「大きな動きで潤滑面が流れ落ちやすい」という欠点もあります。これらの特徴から、
・高速で動かすグッズには、標準~粘度が低く流動性の高いローションを使う
・ゆっくり動かし長く楽しみたいグッズには、標準~粘度の高いローションを使う
…という基本的な組み合わせが導かれます。なお、粘度の高い水溶性ローションは適度な水を足せば必要とする低粘度のローションへ変化させる事ができます。
また、いわゆる締め付けのキツいオナホールなどで粘度の高いローションの利用を勧めしているケースが見られますが、滑りの良い低粘度のローションの方がスムーズに使えるという意見もあります。よく滑るローションは粘膜を摩擦から守る効果も高いので、筆者は「一通りのグッズと低粘度ローションの組み合わせは、一度は試してみるべき」をお勧めします。
さて、ローションにはジェル状のものもあり、セックス用の潤滑ゼリーもローションの代用品として十分に使えます。使用感の特徴としては低粘度ローションに類似しますが、使用中、一般的な水溶性ローションが(低粘度でも)徐々にニチャニチャした粘着感を増してくるのと比較して、ジェル状ローションはただ滑りだけが低下していくという違いがあります。ローションの糸を引くようなネットリした感触が好きではないというお話を聞いた事もありますので、そういった方にはジェル状ローションをお勧めしたいですね。
全国にドラッグストアが点在している現在、少なくとも水溶性ローションを入手できなくて丸一日困り続けるケースは心配無用ですが、今この瞬間どうしてもローションを必要としているんだ! という状況に遭遇した事でしたら皆様も一度はおありかと思います。エロ目的のローションが手元にない、でも潤滑剤となる何かが欲しい。こういう性欲の昂ぶりに振り回されている時、人は誤った選択をしがちです。筆者も同様の状況で何度か失敗したひとりで、願わくば同じ失敗を皆様が体験せずに済むよう(その瞬間に思い出せるかどうかは別として…)筆者以外の方の体験談等も含めた「避けるべきローションの代用品」について書き綴ろうと思います。
たまたま全裸であったりラブグッズ使用後に洗う手間を考慮しての場所選びの結果だったり、手近なところにある粘性を持つ液体として代用品に選ばれがちな有力候補と言えるでしょう。実際使ってみたその瞬間はローションに近い潤滑を得られるのですが、これらの洗剤はそもそも潤滑力が低すぎるうえ、皮膚なら平気で使えても粘膜への使用ではダメージを伴う場合があります。筆者が失敗した場合では、使用開始時に痛みはなかったのですが(つまり予め亀頭包皮炎に罹っていた訳ではない)、2分前後のオナホールへの抜き差しで亀頭全体と尿道口にピリピリとした痛みを感じ始めました。慌てて湯で洗い流すも、勃起が治まった後もそれぞれに刺すような痛みが翌日まで続きかなり後悔しました。尿道の痛みは洗剤の侵入が、亀頭の痛みは潤滑不足でのオナホールとの摩擦が、それぞれ痛みの原因だったのだろうと思います。
・食品
粘性を持つ食品をローション代わりにするのもよくある失敗談です。サラダ油やオリーブオイル、生クリームにハチミツ、果ては納豆と様々な食材が代用品にされてしまう訳ですが、当然ながらローションに匹敵する潤滑の持続力はほとんどの場合再現されず、結果として無理な摩擦が痛みの原因となっていきます。なお、場合によっては食品そのものをオナホールやラブグッズ代わりにする例もありますが、その場合でも挿れるにせよ挿れられるにせよ、食品の滑りを当てにはせず正規のローションを併用すべきです。
・ハンドクリームやマッサージオイル
しっとりした滑りが一瞬代用できる気がするものの、これも実際に使ってみると潤滑剤としてはまったく使えない部類になります。そもそもラブグッズと粘膜の接触に比べ、手の平を擦り合わせたり身体を手で摩るといった皮膚同士の接触は摩擦抵抗が低く、それ故にハンドクリームやオイルといった低い潤滑性能でも滑るような接触が成立するのです。限定的に使えるとすれば、比較的皮膚に近い対抗力を持つ粘膜部、これは人それぞれ違いますが例えば乳首やアナル周辺部といった、性器以外の一部の粘膜部には優しいタッチに限り代用できる場合があります。
・唾液
これはおそらく試そうとしてラブグッズに唾液を垂らした時点で「あ、これは無理だな」と気付けるのではないかと思いますが、多くの場合唾液は薄め過ぎた水溶性ローションとほぼ同じ程度の潤滑力しかなく、大量に供給し続けられない限り代用品とはなり得ません。ただ、ごく稀にローション顔負けのトロトロした唾液をたっぷり出せる人もいて、そういった人に限っては一部プレイ(フェラ・手コキ等)で代用する事が可能です。
・ワセリン
これはアナルプレイ等には活躍するものですが、オナホールやバイブといったラブグッズの潤滑目的には適さないものです。摩擦による擦れや引っ掛かり感を消す以外、一般的なローションを上回る使用感を得られる事はないでしょう。
・ベビーパウダー
これも特殊な例で、水っぽい潤滑ではないサラサラとした接触感のみを楽しみたい場合(例えばおっぱい系のシリコングッズに触る等)に有効なものです。筆者はこれもオナホールへの挿入に新感覚が得られるのではないかと試した事がありますが、実際には摩擦抵抗はほとんど減らずストロークできないうえ、やはりゴムとの摩擦で粘膜に痛みが起きました。使用箇所はあるが、ローションの代用品にはならない一例です。
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いかがでしたでしょうか。ざっくりまとめれば「ローションが必要ならローションを使う、しかも適した物を」という一文に集約されるのですが、自分自身とラブグッズに適したローションを見つけるためには、少なくとも水溶性2種類とシリコン系ぐらいはそれぞれ試してみる必要があると思います。せっかくの高性能ラブグッズも適したローションを使わなければその気持ち良さも半減してしまいますから、皆様もぜひ新たなローションに手を出してみてはいかがでしょうか。それでは良きローションライフを。
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