さて、入門・初級の段階を既に踏まれた方々には申し上げるまでもないことですが、万一まだ未体験の方もこの講座の読者の中においでだと困りますので、最初にSMプレイの基本的約束事、ルール、条件などをお話ししておきます。
この約束事や条件は、次回以降の講座全ての前提となりますので、しっかりお読みいただき、頭に入れておいて下さい。(本当はプレイする部屋に大きなフォントで印刷して貼っておく、くらいの気持ちが欲しいところですが、まさか、部屋に堂々とこんなものを貼っておくわけにもいかないでしょうね。)
ちょっと固い内容になりますが、当事者やKIYOさんが法的な問題に巻き込まれたりしないためにどうしても必要な約束事です。
まず、SMプレイは健康で責任能力ある成年男女の自由意志の下での相互の合意によって行われなければならないということ。
当然、男女どちらか一方が18才未満であれば、許されません。
「健康で」ということは、どちらかに潜在的にでも持病のようなものがあると、SMプレイのように肉体的にも精神的にも極度の緊張が必要とされるものでは、最悪の場合、発作などが起きて命にかかわる危険があるからです。
「自由意志の下での相互の合意」ということは、例えば男性が一方的に女性を力づくで拘束したり、無理矢理何かに同意させるというのは絶対に禁止、ということです。
次に、生命に危険の可能性があることは、絶対に行わない、ということも大切です。
入門・初級段階では、男女とも恐る恐るプレイをするので、まず命の危険は考えられませんが、少し慣れてくると、つい、過度な刺激を求めて無理をしがちです。
くれぐれもご注意下さい。
また、SMプレイでは拘束が付き物ですが、地震や火事など、突発的災害の発生時に、速やかに拘束を解けるよう、事前に必ずチェックをして下さい。
非常時に拘束状態のまま女性を置き去りにするなどは、殺人罪となっても当然と言えるでしょう。
さらに、中級ぐらいになると、上で述べた事前の相互の合意の下でなら、女性の訴えにもかかわらず、責めを続けるという場合も出てきます。
その場合、責める側も責められる側も快感と陶酔状態に陥る余り、肉体の限界に気付かないことがあり得ます。
そこで、特に女性側は、「本当に限界」、事前の「相互の合意」を越えていると思ったときに発することができるように、ドクターストップ的な合い言葉を男性との間で取り決めておくことをお勧めします。「いや!」とか「もう駄目!許して!」などは、駄目です。SMプレイ中に、これらの言葉は当たり前のように発せられるからです。そうしたプレイに付き物の言葉でない、言葉、それも簡単に言えて、聞き取りやすい言葉がよいでしょう。例えば、「ストップ!」とか、「チェック!」とかがいいでしょう。
けれども、こういう合い言葉さえ発せられないほど、無我夢中状態になることもあります。そのような場合、女性からドクターストップの発信ができないのですから、男性側がそれを察してやらなければなりません。
それは男性側の責任であり、義務です。その自信がないなら、そうした極限までのプレイは最初から試みるべきでありません。
「ドクターストップの合い言葉を(女性が)言わなかったから、気が付かなかった…」などという言い訳が責任能力のある成人の世界で通用しないのは、言うまでもないでしょう。
なお、本講座では、いわゆる「苦痛」系は避けて、もっぱら「官能」系のSMプレイを扱いますので、鞭、縄、熱蝋による肌への損傷等、身体を直接傷つけたりする危険性には触れませんが、「官能」系でも、拘束を強くし過ぎると思わぬ擦り傷などが付く可能性もありますのでご注意下さい。
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