前回、SMプレイのエッセンスは拘束にあることを説明しました。
しかし実際に女体を拘束するとなると、さまざまな問題にぶち当たります。
昔流行ったビニ本や、最近ではインターネットのSMアダルトサイトに無数に見られるSMの静止画…。
そこに百花繚乱展開する拘束図を参考に、パートナーを拘束しようと試みた男性も少なくないでしょう。
ところが、実際にやってみると、うまく行かない方が遙かに多いものです。
なぜでしょうか?
まず、静止画というのは、読んで字の如く、静止した一瞬を画面に定着したものです。それに対して、
SMプレイというのは、あくまでダイナミックに、動的に、連続して動くものです。この動きの流れということを忘れて、いくら静止画を参考にしてもうまくいくはずがありません。
静止画としては、女体の美しさ、陰影を余すところなく捉えているポーズでも、実際に生きて動ける女性を束縛した場合、一旦責めの攻撃が始まると、その責めに耐え切れずに、必ず最初のポーズは崩れていきます。
すると、「静止画ではあんなにうまく行っていた」はずの効果的なポーズが、実は責めの流れ、連続には全く不向きであることに気付いて愕然とするものです。
これが吊り責めなどになれば、うまく行かないどころの話ではなく、悶え動いたためにロープが緩んだり、バランスが崩れたりして、落下、首の骨を骨折、即死…という、最悪のアクシデントさえ、かなり高い可能性で考えられるのです。静止状態だから何とか無事に行っているけれども、一度身体が独りでに動き出したら、先はどうなるか全く分からない…というポーズが静止画には非常に多いことだけは心に留めておいて下さい。
これは単に、女体のポーズだけではありません。大人の玩具の使い方にしても同じことです。
一例を挙げましょう。
椅子の肘掛けの部分にそれぞれの脚を載せ、縛られ、開股姿勢を取らせられた、いわゆるM字開脚縛り、あるいは、膝を伸ばした蟹縛りなどと呼ばれるポーズがあります。
そこに股縄を掛け、その股関節部分にローターを当てて、いかにもローターによる股間責めをやっているかのような静止画をよく見かけます。
ところが実際にあれを試せば、たちどころに分かることですが、ローターが電源オフの場合はうまく固定できていても、一度スイッチをオンにすると、その振動でロープと股間の間を滑り出て、あっと言う間に外れてしまいます。
静止画で、いかにモデルが切なそうな悶え顔を演出していても、ローターは実は電源がオフなのだ、ということがばれてしまう、一番分かりやすい例です。
幸い、この場合、失敗しても、吊り責めのように命の危険があるというような心配はありませんが。
つまり、女体のポーズにしても、玩具との関連にしても、静止画でうまく行っているように見えても、SMプレイではそのまま取り入れることはなかなか難しいということです。
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