さて、拘束効果の極致は何かと言えば、男性なら誰しも、「痙攣」と答えるでしょう。絶頂に次第に近づきつつあるときに見られる、股間を震源地として、大腿部、腰、下腹部に拡がるあのためらいがちのさざ波のような痙攣、そして、いよいよイッた瞬間の、あのガクン、ガクンと、天井にまで突き上げるかとも思える縦揺れ、そして、その余韻を告げる、断続的な、ぶるぶるっ、という胴震い…。
SMプレイの全てはこの痙攣に極まると言ってもよいでしょう。
どんなに不美人とされている女性でも、この絶頂間際と、絶頂の瞬間、そして絶頂後の余韻がきれいに出るのであれば、男性は、夢中になってしまう、というのが偽らざるところでしょう。
この肝心要の痙攣は、拘束無しだと出方が半減してしまいます。
筋肉や筋が自由に動くと、痙攣に至る緊張がその自由な動きの中に解消されてしまうからです。もちろん、女性によっては、−−特に、いわゆる熟女には−−拘束無しでも見事な痙攣を見せてくれる人もいなくはないのですが、拘束することにより、100%とは言わないまでも、大多数の女性が自由解放状態では考えられないような痙攣を経験します。
この痙攣は、体位が痙攣発生以前から筋肉に緊張を強いるものであるとさらに強まります。と言っても、何も非常に不自然なアクロバット的体位を強制しろと言うのではありません。
ベッドの上に、横になった体位ではなく立位にすることで、下半身の筋肉は寝ている場合に比べて遙かに多くの緊張を強いられます。
風邪で数日寝込んだだけでも急に起き上がって立ち上がろうとすると、ふらついてしまうのを思い出してみればよく分かるでしょう。
私たちは普段何気なく、「立つ」姿勢を取っていますが、実はこれは大変なことなのです。
そこで、立位の責めの意味と効果がお分かりいただけるでしょう。
本シリーズ(マガジン18号)でも、家庭内でできる立位プレイの道具立てについてかなり具体的に詳しく説明したのもそのためだったのです。
特に大開脚立位だと、肩幅の楽な開脚立位に比べて、身体のバランスを取るために、より多くの筋肉が緊張します。
その状態で、例えば、股間にバイブレーター攻撃を集中すればどうなるか…?特に、イッた後、10人中9人までが、がっくり膝を折り、全体中を腕に預けるようにだらりと弛緩状態になってしまいます。
(浴室の物干し棒や突っ張り棒に上肢を拘束してある場合、この時が一番危険ですので、腰から下を抱き上げるようにして支えてやるなど、棒への垂直方向の負荷を軽減するよう配慮して下さい。)
この場合、女性にとっての屈服感は計り知れないものがあります。
仰臥姿勢でイッたのであれば、いくら拘束されているとは言ってもいわゆるノーマルセックスやオナニーでイッたのと同じです。
ところが、立位でイカされ、その結果まともに立っていられなくなる…というのは、女性にとって、屈服をそのまま全身で表現することになるのです。
女性が立位で責められ、イカされることにことさら抵抗するのはそのためです。
特に、一度その惨めで屈辱的な経験を味合わされた女性は次回、「あんな思いはもうしたくない」と、特に反抗するものです。
また、立位でイカされるのは、非常に体力を消耗するようです。
上でも記しましたが、立っているだけで、相当な運動になるわけです。
それを大開脚、万歳姿勢で、イカされるのですから、肉体疲労は相当なものになります。
前戯と、イカせるまでの焦らし責めが長く、執拗であればあるほど、この体力の消耗は激しくなります。
ですから、女性の疲労度を見極めながら、ほどほどのところで絶頂に導いてやらないと、いわゆる「見事なイキっぷり」を堪能することができなくなります。
この誘導さえ、うまくやれば、特に内股大腿部から、脹ら脛にかけての緊張と痙攣はこの上なく美しく浮き立ってきます。
特に脹ら脛の筋を浮き立たせるためには、踵が床に付かない程度の開脚と、上肢の引き上げ拘束が条件となります。 |