◎ SMの身体の力学 |
今回は、SMビデオを二人で鑑賞しながら、「なぜ縛らなくてはいけないのか?」という質問を女性が発したときどうしたらよいかについて、最初の対応法だけを説明して、本体は今回へ回しておきました。 実は、「SMでなぜ縛るのか?」というのは、SMの本質に関わる大問題です。ですから、単にSMビデオ鑑賞の際に女性からの質問に答えるという以上に、ある意味で、本講座全体を通じての基本問題とも言えるものです。 ですから、今後もこの問題は折りに触れ、考えていくことにします。 この点について、男性と女性が、共通の理解を持っていることは、愛し合う者同士がSM世界に没頭するための必須条件とも言えるのです。 それはとにかく、当面は、ビデオを前にしての質問に次のように答えてはいかがでしょうか。 「自然に動いてしまう、その動きを封じられたら、どうなると思う?思わず動きたい動きが動きとして身体の外に出せない…となると、そのエネルギーは身体の中に向かうしかないだろ? そもそも、愛撫された時、身体がくねってしまうのは、快感が身体の内から沸き起こってくるからだね。 身体の動きが封じられると言うのは、その快感が出口を塞がれると言うことだ。そうすると、どうなるかな?…出口を塞がれた快感は、また、身体の内奥へ、逆戻りするしかない。もちろん、嬌声を張り上げたり、脂汗を流したり、という、形で、快感を外へ吐き出すことはできる。 けれども、そんなのは、突き上がってくる快感を表に出すには、焼け石に水、ってやつだね。 ところが、続けられる愛撫と高まる官能は次から次へと、身体の中から吹き上がってくる。中から噴出する快感と、出口を塞がれて舞い戻ってくる快感が、身体の中で、まるで鳴門海峡の渦潮のようにぶつかり合い、鬩(せめ)ぎ合う…。 これがどれほど激しく、深い快感になるか、それは、ビデオで確認するしかないだろうね…」 こんな具合に、男性側のコメントと、ビデオの先へ進むのを結びつけると、スムーズな流れになります。 ただ、上の説明は、少々理屈っぽくて、理解してくれる女性は理解してくれるのですが、「よく分かんない…」と、受け付けてくれない女性もいることは確かです。 そんな場合は、もっと、女性の体験に即した、以下のような説明が効果的です。 「実は、縛られなくても、それから、『動くな』と命じられなくても、女性は、自ら進んで『動きを封じられた状態』に、無意識で向かっているんだよ。例えば、イク時、思わず、シーツを握り締めるね。あれは何故だい?あるいは、正常位でイク時、思わず脚をぴーんと突っ張るね、あれは何故? また、感極まってくると、足の指をぎゅーっと内側に曲げるね。どうしてかな? こうした動作は、みんな『自由な動き』とは、正反対の動作であることに気が付かなければいけないよ。 女性は、イク時、我知らず、自分で自由な動きを止めることで、快感が外に動きとして出ていくのを防いでいるんだ。快感を外に表現しないで、内に秘めてしまう。その方が、快感が倍増することを、本能的、無意識的に知っているからなんだ。 縛ったり、『動くな』と命じるのは、それをもっと意識的に強制的に行うだけなんだよ。」 このような説明で、女性は、動きを封じられる意味を納得してくれるでしょう。 今の段階で、麻縄に雁字搦めになった女性の「緊縛美」などを持ち出しても、それは男性が勝手に描いた美感に過ぎないことを見破られてしまいます。 あくまで女性の経験、女性の感覚に即した説明でなければ、女性は納得してくれません。 |
◎ 細かな観察を忘れずに |
ビデオ鑑賞に限らず、SMプレイのどの局面でも大切なのは、細かな観察です。 女性の肉体、顔の表情、声、匂い…発情と、官能の高まりに応じて、これらは微妙に変化します。それを見逃さずに、変化に応じた対応をすれば、男性側も女性側も共に快感が深まり、その相乗効果たるや、目を瞠(みは)るものがあります。 先回、SMビデオを鑑賞する準備として、男性側は何度も見て、画面を見ないでもスピーカーからの音、声だけで、流れが分かるようになっていなければならないと書いたのは、正にそのためです。男性の視線が、ビデオ画面に釘付けになっていたのでは、刻々変わる女性の変化を見逃してしまうことになります。 そんな状態では、その瞬間、瞬間に最適な説明や、愛撫など到底無理な相談ということになります。 例えば、モデルが脱衣から固縛状態に移った辺りで、女性の両肩にそっと手を載せてみて下さい。肩から首にかけての筋肉が非常に固く、緊張している場合が多いものです。 それは、女性が、画面の中で裸で縛られているモデルと心理的に一体化して自分が縛られているかのような気持ちになって緊張している表れです。 そうした時、彼女の視線は、画面に釘付けになっているはずです。思わず両手を握り締めていることもあります。 こんな状態では、下手にコメントなどせずに、男性側も画面に没入している振りをするのがいいでしょう。 けれども、「あんなに縛られたら、痛そう…」とか、「あんなポーズじゃ、苦しそう…」などという反応が出てきたら、「いや、あれはプロが縛っているので、本当は痛くないんだよ。」とか、「ちょっと苦しそうに、呻いているけど、あれは、むしろ、これから、凄い快感を与えられる前の期待の吐息なんだよ。」などと、安心感を与えたり、期待感を煽ったりするのが効果的です。 画面上では、固縛されたモデルが、いよいよ、手による愛撫を受け始めたとしましょう。 そうなると、女性は、呼吸が速く、浅くなってきます。まるで自分が愛撫されている気分に浸っているのです。 画面上で乳房への愛撫が展開しているなら、男性も同じように軽く乳房の辺りをまさぐるのもよいでしょう。 心臓の鼓動が非常に速まっていることを触覚できるはずです。 ただ、男性側の愛撫は、女性が画面を注視し続けられる程度にあくまで抑えた愛撫に留めておきます。 いくら、固縛状態とは言え、まだ、手による愛撫はいわゆるノーマルなプレイの域を出ておらず、この辺で女性の気が画面から逸れてしまうと、せっかくのSMの世界への導入に至らないからです。 「ほら、画面をちゃんと見なくちゃ駄目だ」などと、指示しなければならないほどに、興奮させてしまうのはこの段階では行きすぎです。 そこまで行かないように、セーブして、女性の興奮度に探りを入れる程度に留めておくのがコツと言えるでしょう。 |
◎ モデルの反応を引き寄せる |
そのように抑制された愛撫を軽く続行しながら、さらにビデオ鑑賞を続けます。 画面上では手による愛撫から、ローターあるいは、バイブレーターによる責めへと進展しているはずです。 女性がもし本当に初(うぶ)だったら、ローターやバイブレーターについて簡単な解説が必要でしょう。 その解説は、必ずしも事実に沿っている必要はなく、信じられる範囲内で、誇張したりしても構いません。要するに女性に対する最大限の心理的効果を狙えばよいのです。 例えば、「あれは『ローター』と言ってね、もの凄い高速で中のモーターが震えるようにできているんだ。ちょうど携帯電話のマナーボタンを押してある状態で着信すると震える、あれが、遙かに強力に、しかもあの小さな本体に凝縮されている。 画面のように、乳首を愛撫されても、もの凄く気持ちがいいことは、ほら、あのモデルの表情で分かるだろう? あれは『親子ローター』と言って、大小2つのローターがペアーになっているから、ああいう風に、左右両方の乳首を感じさせたかと思うと、一方は乳首、もう一つはクリちゃん、という風に、感じる所をいろいろ遊べるんだよ。元々は不感症の女性の性感開発のために、産婦人科のお医者さんが開発しただけに、あれをまともに当てられて感じない女性はいないそうだよ。」などと、持っていきます。 また、画面上でのモデルの反応に、観ている女性がどの程度同化しているかをしっかり把握しておくことが大切です。カメラのアングルが切り替わったり、場面がちょっと変わったりするとき、「ふーっ」と大きな吐息を発するようになっていればしめたものです。 画面の中のモデルにすっかりなり切っているため、緊張により呼吸が浅く速くなった状態が続いたため、その間で文字通り「一息入れ」ようとする、身体の自然な反応の表れです。 |
◎ イク瞬間 |
モデルの反応がいよいよ激しくなり、ローターなりバイブの回転音が高まってきたら、男性側もいろいろ適宜、コメントの言葉を入れていきます。この状態になると、女性は既に没入状態ですので、コメントの言葉は邪魔になりません。
むしろ、適切なコメントは、さらに興奮を高めるものとなります。 以下、効果的なコメントの例を示します。 「ほら、いよいよ、イカされるよ。イク時、どれほど、気持ちよさそうな表情になるか、よーく見ておくんだよ。」 「ほら、イキそうなのに、まだイカせてもらえないだろう?あれは、簡単にイッてしまうと、浅いところで妥協してしまうから、もっと、もっと、深くイカせるために、わざとああやって焦らしているんだよ。」 「ほら、額に汗が滲み出ているだろう?瞼もぴくぴく、痙攣して…。身動きできない状態で、ローターでやられると、誰でもああなってしまうんだよ。」 「まだ、『も、止めて!』とか『も、いやっ!』とか言っているだろ?ああいう言葉を発せられる内はまだまだなんだ。本当に気持ちよくなると、もう、言葉にはならない。ほら、『うっ!』、『あ、はっ!うむっ!』、『いっ、ひーっ!』、とかね。」 「まだ、○○子は、あそこまでイッたこと、ないよね。ほら、内股から、膝にかけて、まだ、ぶるぶる震えているの、見えるだろ?本当に深く、激しくイクと20代でまだ経験が浅くても、あそこまで痙攣が収まらないほどに、イケるんだよ。」 「あ、また、イカされる!ほら、息付く暇も与えず、連続絶頂だ。○○子、あんなにされてみたいかい?」 「縛られているからこそ、あそこまで、快感が激しく、深まるんだよ。○○子をあそこまで、気持ちよくしてやりたいなぁ。」 「このビデオでは、モデルは『潮吹き』しなかったけれど、このくらい快感が激しいと、『潮吹き』と言って、イク瞬間にお漏らししてしまうこともよくあるんだよ。○○子は、イク時、おしっこ出たい気分になったこと、ないのかなぁ?」 まだまだ、いくらでもコメントできますが、キリがないのでこの辺で止めておきましょう。 大切なことは、画面上で展開するモデルの反応をうまく解説しながら、女性の側に引き寄せて来ることです。こうすることで、女性は、「自分もあの快感に浸りたい。」「私もあそこまで思い切って、深く『イク』体験をしてみたい。」と思うようになるのです。 |
(次回に続く) |
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